学校の絡みでバナナに関して調べたので転記しておく。
バナナの香気分析は過去なされてきた1)。それによると、バナナの香気成分として230以上の化合物が明らかにされており,成分の多くはエステル,アルコール,カルボニル類である。
McCarthy2) らはバナナの香気成分を官能的に評価し、バナナ香気に寄与する化合物として、バナナ様香気(酢酸3-メチルブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸ペンチル、酪酸ペンチル)、果実様香気(酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酪酸ペンチル、酢酸メチル)、青草臭・木臭・カビ臭さ(2-ペンタノン、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール)であるとした。バナナ特有の甘い果実様香気にはC4-C6のアルコールの低沸点エステルが重要な成分であり、また特徴的成分としてオイゲノール(IV),オイゲノールメチルエーテル(V),エレミシン(VI), およびサフロール(VII)などのフェノールエーテル類の存在も重要な成分である。
Jirovetz3)らはカメルーン産のサイズの違う2種類の完熟バナナを用いて固相マイクロ抽出(SPME)分析を行った。ショートタイプから60成分,ラージタイプから56成分を同定した。両品種とも主要香気成分は,Isoamylacetate,Isoamylisobutyrate,Isoamylvalerate,Butylvalerate,2-Methylpentanol,Hexanal,Isoamylmethylketoneであった。.また,官能評価により,主要成分と短鎖系の低濃度のエステル類にカメルーン産のバナナの特徴を示す成分があることを見いだした。
ただし、実市場においてバナナのフレーバーはフレッシュタイプではないと考える。特にマクドナルドのシェイクやバナナ・オレ、バナナチョコレートをモチーフにした菓子などのような、実際のバナナよりもかなり甘くファンシーにしたバナナ風味が多いため、フレッシュなバナナを目標とした処方検討をすることは必要だが、同時にファンシーなタイプに関しても処方検討をする必要があると考えている。
参考文献・注
1) 成書では「食べ物 香り百科事典」日本香料協会(編) (朝倉書店2006/02) p.446や「香料の辞典」 (朝倉書店1980) p.141
2) A. I. McCarthy and J. K. Palmer: J. Food Sci., 28,379 (1963)
3) L. Jirovetz, G. Buchbauer, et al., Eranahrung, 24, 61 (2003)