ラクトン


ラクトン (lactone) は、環状構造を持つ有機化合物のうち、分子の環の一部としてエステル結合を含むものを指す。

5–6員環のラクトン構造はテルペン類などの天然物に多く存在し、香気成分やフェロモンなどによく見られる。3, 4, 5, 6員環のラクトンはそれぞれ、α, β, γ, δ-ラクトンと呼ばれることがある。

<合成> 合成法は主に、ヒドロキシ基とカルボキシル基を持つ分子(ヒドロキシカルボン酸)の分子内脱水縮合による。環化を起こしやすい5,6員環ラクトンの形成は容易で、相当するヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステルを酸触媒で反応させるだけでラクトンが得られることが多い。

12員環以上の大環状ラクトンをマクロライド(後述)と総称する。抗菌作用や抗腫瘍作用など強い生理活性を示すものが多く、抗生物質 エリスロマイシン、抗真菌剤 アムホテリシン、免疫抑制剤 タクロリムスなどが医薬として実用に供されている。(例)麝香臭を持つ香料として著名なエキサルトリド (exaltolide) は16員環のラクトンである。
<合成> 7員環以上の中・大員環ラクトンは高度希釈法を用いるなど合成に工夫を要し、山口ラクトン化反応やオレフィンメタセシスによる方法が近年多く用いられている。

反応 [編集]
水酸化ナトリウム水溶液などで加水分解すると、脱水縮合前のヒドロキシカルボン酸に戻る。反応性や機構はラクトンの環の大きさにより変わる。5員環以上のラクトンの加水分解は、カルボニル炭素への OH−イオンの付加から始まる付加脱離機構で、立体的なひずみを持つ 4員環ラクトンでは、OH−イオンが4位の炭素を攻撃する SN2機構で進行する。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参考http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%B3
移動: ナビゲーション, 検索

コメントを残す