香りの空間デザイン

「白い闇(オカムラデザインスペースR 第11回企画展)」をみながらつい考えたこと。

家具と建築の関係性は深く、バウハウスのような戦前の時代に置いても、建築家はその建築空間内に自分のデザインした家具を配置した。最先端の建築家は、空間内をすべてデザインするアーティストでもあり、一種の時代の申し子でもあったわけである。オカムラの主力商品自体はオフィス用品であるが、オフィス環境すべてをコーディネートする事もできる会社であり、定期的に行われるこのアートスペースは時代を先取る感性を養うため・感性を打ち出すためにも必要なことであるようだ。

空間と香り、は実はとても古いテーマである。家に人を呼んでもてなす際には、清掃して清めた部屋に客を通し、用意しておいた香をわずかに焚いた後に、食事を楽しんだり、茶・菓子を楽しんだりすることが格式高いもてなしだった。これは日本だけの事ではなく、香の楽しみがある世界では、客を茶でもてなしたり、酒席でもてなしたりする際の、「もう一手」として香を選ぶことも普通にある。

香のような古典的な香りは昔から今にいたるまで用いられている反面、空間に漂う香りが機能性を持ったアイテムとして注目されたことにそう歴史があるわけではない。オフィスに柑橘の香りを微かに流すことで事務作業の効率が向上したり、アパレルショップにオリジナルフレグランスを流すことでブランドイメージが高められることなど近年に入って注目された。アロマテラピーを勉強し、寝室や浴室で精油を用いてリフレッシュしたりしている人も多い。

ぜひ、これを機に 「香りの空間デザイン」を体系的に作ろうという機運が現れてくれればうれしい(自分の研究も研究室の研究も生きるであろう、と思う)

(本当の余談)今回の上田さんの展示で印象に残ったのが、きちんとしたアイディアの核を作っておくことが重要である。それを何人かのコラボレートで行うときにはアイディア構想・作品デザインをディスカッションするレベルから全員参加で、目標イメージを明確化するスタートアップがやはり重要なのだということだ。そのためには、誰がどの専門家であって、相談したら良いのか・また完成度の高い解答を出してくれるのか、明確に知ってオーガナイズし、スタートアップすることが欠かせないと思う。

aromaphilia: ヨコミゾ氏+上田さんの”白い闇”
aromaphilia: 自分の研究、自分の役割

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