書籍電子化に関する記事まとめ(日経新聞等から)

日経新聞を読んでいると、電子化の話が大々的に取り上げられていた。いずれもiPadに代表されるようなタブレット型端末が今後隆盛するとともに、電子版の書籍がメジャーになってゆくという観測を基にしている。

実際、書籍は電子化される運命にあると思われる。詳しくは日経新聞に記事(電子書籍 元年 :特集 :日本経済新聞)を参照していただきたいが、英語圏における電子書籍の隆起とともにgoogleなどが既存書籍の電子化を推進しているのに対して、国内書籍会社が重い腰を上げたという形である。既存書籍出版社にとって出版業界の電子書籍化は、販売ルートの大幅な変更、マーケティングが前例なし・予想外のセールス展開となってしまうために、なるべくなら書籍マーケットの電子書籍化は避けて欲しいし、その変革が起こるならなるべく緩やかな方が良いというのが本音ではないだろうか?書籍の電子化には法的なグレーゾーンが多い(参考http://blog.livedoor.jp/businesslaw/archives/52029061.html)。だからこそ、aromaphiliaでご紹介した「電子書籍の衝撃:本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」にも書いてあったことだが、やってしまった者勝ちという点もある。googleが始めてしまったからこそ、国内既存書籍会社はシェア奪還の意味も込めて電子書籍産業に表立って参入し始めた。

ユーザーにとっての書籍の電子化は、音楽の販売形態がCDのセールスからオンラインのダウンロード販売中心に変化した以上のインパクトを持つと、自分は考えている。たとえば書籍の内容を全文検索したり、本と本の情報リンク(PDF上での電子付箋の活用や、他のメモ系アプリケーションソフトの活用)を積極的に展開することで、従来の冊子体でのライブラリーよりも遥かにアクティブな情報活用ができると考えられる。冊子体のライブラリーではいかに自分が覚えているかが重要になるため、うろ覚えの情報を探す際に時間と労力を費やすことになってしまう。それに対して電子化されていればライブラリーからの資料作成など省力化、短時間化が見込める(たとえばこの人などは似たような事を考えているhttp://futuremix.org/2010/07/ebook-is-not-scanned-pdf-file)。また専門誌を購読する専門職の人にとっては、購読紙を電子化することで、欲しい情報へのアクセスが圧倒的に短時間化する(http://blogs.yahoo.co.jp/ponpoko6691535/32008400.htmlなど)。

かなり風向きの良い展開になってきているのが、電子機器メーカーや半導体メーカー。この夏は高機能携帯の展開が活発であったため、業績はかなり良かったらしい。今後は、高機能携帯に加えてタブレット型端末もその柱になってくるのではないか?(電子書籍、端末続々 サービス競争が加速 :日本経済新聞) また、矢野経済にも似たような報告があり、中身を閲覧してみたい(が今は無理)  2010年版 電子ペーパー市場の現状と将来展望 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所2010年版 出版社経営総鑑 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所など。

大学工学部等も電子化をにらんで、書籍の取り込み速度の向上や、精度向上を研究している。東大と大日本印刷の共同研究は結構有名(パラパラめくり書籍丸ごと電子化 大日本印刷と東大  :日本経済新聞)。また、書籍の電子化を進めると、盲目の人達への自動音声化サービスを省力化できるため、その研究も行われていたりする(http://fuji.u-shizuoka-ken.ac.jp/~ishikawa/newread.htm)。電子化においてはOCR過程が必要になるが、その問題が最もシビアに利いてくるのがこのような音声化サービス時のようだ。

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