科学検証されていない医療

ホメオパシー療法に関して、新聞に取り上げてあった1)。ホメオパシーとは何なのか、近代医療とはどのように異なるのか、他の民間療法とはどのように異なるのか、関連性はあるのか、についてまとめておくことにする。予めお断りしておくが、筆者は医療従事者でもなく、民間療法の施者でもない、ただしこのカテゴリーは香料ともかかわりの深い分野である(詳細後述)ために事態の展開に並ならぬ関心があると同時に、状況把握と各者の意見を正しく把握したいと思うのである。

さて、そもそもホメオパシーは薬剤の使用方法の一種だと言え、病状と同じ作用を発する薬剤を処方するという投薬という考え方がそもそもの基礎にある2)。実はこのような投薬の仕方は民間療法には良く見られ、「近代医学において、病気の症状を抑制する方向の投薬をするのとは対照的」と評される。現在問題になっている点はホメオパシーの薬剤の中には著しい低濃度まで希釈された薬剤や、無機化合物が含まれ、現代薬学における薬効が確認できていない点、(一部で)ホリスティックな効用説明を繰り返している点、(特に貧困地域で)実際の効用が確認されないまま現代医学の代替医療になりつつあること(治癒効果は上っていないのに広がっていると言う報告がある)である。

もともと、民間療法はホリスティックな面と経験的な帰納的な施術という2面を持っている。漢方薬もそれまで積み重ねられてきた経験知がその漢方薬学の基礎にあるのだが、その病理解釈や診断基準は近代科学と相容れない部分もある。これが鍼灸や気孔になると、さらに民間療法と近代科学の相容れない部分は大きくなる。医学を科学的に裏付けることはとても難しいことなのだし、伝承されてきた民間療法を完全には否定できないが、効用が確認できない施術が蔓延するのも困るのではないか、と自分は考えている。

香料によって体の調子を良くなる、という現象は古くから知られていて、植物の精油を民間療法はアロマテラピーと称される。ストレスの多い現代人にとって、睡眠の質を改善したり、疲れた頭を休ませたり精油や香りを使った癒しの時間は重要な役割を果たし始めている。だがアロマテラピーは、統一的な解釈を与えられているわけではない民間療法に過ぎない。心理学的アプローチや脳科学的なアプローチ、あるいは抗菌効果や殺菌効果の評価は地道に進められており(この分野はアロマコロジーと言う名前で呼ばれることが多い)、効能も確認されている。その反面、効能をホリスティックに解釈する人もいる。まさに、「統一的な解釈を与えられているわけではない」状態だ。

筆者としてはホリスティックな感覚をもっていることも人間にとっては必要かもしれないし、科学が万能なわけではないから、全てが科学的に説明できるとも主張できない。だが、この医療界を中心としたこの動向は注視し、香りと人間の関係性を考える際にも一考するべきかなと考えてる。アロマコロジー、アロマテラピーの効果についてはまた改めて書くことにする。

参考;
1. 
東京都、ホメオパシー業者に立ち入り 薬事法違反の疑い :日本経済新聞
ホメオパシー「根拠なし」に賛成 日本医師会など :日本経済新聞 …等

2.
Amazon.co.jp: ホメオパシー医学への招待―現代医学を超えた21世紀の代替療法: 松本 丈二: 本(出版社)
Amazon.co.jp: ホメオパシー入門: 永松 昌泰: 本

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