香気と呈味の相関、感覚の学習性の共感覚

“味と匂いの連携応答 ―食品開発の新たな視点―”

香気と呈味の相関について九大院農の下田密哉が商品製造の観点から論じている。「化学物質を評価する分析化学と人間の感覚を評価の軸とする官能評価、そしてこの二つを結びつける化学感覚情報処理の重要性」が強調され、特に食品業界で注目されているのが「味と匂いの連携応答」である。

味について、呈味物質は水溶性であり、味雷による化学検出が行われる。それに対して香気物質は多くが脂溶性の揮発物質であり、嗅毛上で検出されている。人間の場合には香気物質は嗅覚器官で受容されるが、生物によっては鋤鼻器官も受容に用いる場合がある。水中生物になると、“香気物質”も水溶性となり陸上生物とはかなり変わると考えられる。食品における味はレトロネイザル香気+テイストである。呈味刺激と香気刺激にはある種の官能上の混同が起こっており、化学感覚の連携応答が起こる。この感覚は短期間で学習できるために先天性の感覚との考え方も出来るが、一般には学習が重要である「学習性の共感覚」とされる。匂いによる味への連携応答は、質的変化と量的変化(増強)に分けて考える。

本論文中では塩味の増強が醤油由来香気によってなされるという研究結果が報告されている。塩分においては、一般成人の必要量を平均摂取量が上回っており、嗜好を満足させる摂取がなされていると解析できる(減塩は健康維持の観点から推奨されている)。この醤油中に存在する塩味増強匂い物質について単離・同定は出来ていないが、のどの渇き、塩味の強化、旨味の増強がおこった。

「」内は本文中から引用。参考文献として挙げられているなかでも、日本味と匂学会誌16, (2009);この巻号には今回のような総説が集められているようだ、読んでみることにする。

参考;
香料No.248, 2010, (12), p.21 

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