最近出たらしい本。目次を見てみただけだが、結構読んでみたいなぁとおもう本。
香料は香料原料と調香という二面がある(もちろん調香ベースという原料と製品の中間的なものもあるが簡便のために「二面」として話す)。大規模な会社ほど両部門を持つ。
香料原料として20世紀に発達したのが有機合成を活用した合成香料である。有機合成に支えられた産業はいくつもあるが、一般的な化学工業と比較して香料の化学は商品単価が高く、しかし大量に原料供給しなくても良いという面が特殊な点である(また高い製品純度が必ずしも重要ではないという面も特殊か…)。その結果、合成部門を持つ香料会社は、少量、多品種、(やや)高単価の化成品を合成する技術を持つ会社も多い。
香料会社の合成部門が医薬中間体などの非香料製品を手がけることも多くなってきているようだ。医薬品などの中間体も少量、多品種、高単価であり、香料会社の持つ精密有機合成が有用な場合も多いのだ。精密有機合成の技術をメインとするこのような分野には、香料、医薬品、農薬などがあり、今市場にどのような化学品が必要とされているか、その化学品を合成する合成ルートとしてどのようなルートが現実的か、手持ちの原料に(少々のモディファイを加えた上で)流用出来るものが無いかリサーチする事が必要となる。
この本で纏められているそのような研究において有効(というよりはリサーチの出発点)ではないかと思う。