商品開発に影響を与える(かも知れない)ソーシャルな挙動

MMRIによると「宝酒造株式会社(以下、宝酒造)は、ニフティ株式会社(以下、ニフティ)と株式会社小学館の雑誌「DIME」が運営する「酒コミュ」と共同開発した“寶「生姜梅酒」500ml”を3月15日より全国で発売すると発表した。」とのこと。

エンドユーザーと商品開発者がかなり接近している。これはソーシャルネットワークの発達によって商品開発者が活発に情報発信している、と同時に情報収集能力の高いハイエンドユーザーが積極的に商品開発動向をキャッチしているためであろう。ブログというメディアが、従来は表舞台に出てこなかった「商品開発」の職人たちの生の声をパブリックスペースにリリースするようになった。それに加えて、ハイエンドユーザーが集まり高度な商品知識を交換する「ファンサイト」。ファンサイトと密接な関係を持つオンラインマガジン。これらが連携している結果である。

この動きの特色を自分なりに抽出してみる(箇条書き)。
A) 高い情報パブリッシング能力を持つ商品企画者
B) ハイエンドユーザーの集団(「ファンサイト」)
C) ファンサイトと商品企画者を結びつけるパブリッシャー(商品発売段階では「広告発信」の役割も果たす、多くはオンラインマガジンがその役を担うことになる、実際に紙面体を持つパブリッシャーが強力である)

実は似ているものがある。ホンダやスバル、マツダ(ロータリー限定)の自動車販売戦略である。スポーツカーという高額で趣味性の高い商品はA+Cをメーカーがフォローすることによって販売を堅調に維持してきた側面があると思う。

この様な動きは当初高額商品のみだったのだろうし、今までもそのような商品企画が試験的になされてきたこともあったのだろうが、日用品に関してもその挙動が延長されてきているのだろう。特に趣味性の高い嗜好品(酒、スィーツ)やファッション(服、メイクアップ用品)でその傾向が顕著になる(もしくはなっている)と考えられる。今後、日本の消費活動がさらに内向きになり、旅や外食のような「非日常を楽しむ」よりも「日常を楽しむ」傾向が高まれば、よりハレとケの境目があやふやな傾向が高まれば、このようなエンドユーザー参加型の商品開発の挙動が増えていく可能性は高い。

面白い挙動だと思う。

宝酒造、ニフティや小学館「DIME」と共同開発の“寶「生姜梅酒」500ml”を3月15日に新発売 - 株式会社 MM総研

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