しょぼい香水、良い香水

良い香水が恋しい。しばしば香水に関して相談させてもらっている香水ショップで、「依然としてパコ・ラバンヌ プールオム良い匂いですね」という話をしたときに、「このパコ・ラバンヌは買っても良いかも」と、ボトルを一本案内された。「実を言うと、ある程度の回数来てくれた人にしか案内できないのだけれども」とも言われた。

いわゆる海外版の並行輸入品である。正規の輸入代理店が契約を取り付けて正規輸入しているときに、並行輸入は出来ないことは無いが、普通の香水商は手を出さない。もちろん個人購入、個人輸入においては問題とならないが。まぁとにかく同時期に正規輸入品があったにもかかわらず、並行輸入してしまった商品を幸運にも嗅ぐことが出来た。(香水の並行輸入に関する課題は改めて記述する)

正規輸入品に関しては学校においてあったので、同時にムエットにスプレーして経時で香りがどのように変わるかを見てみる。並行モノのほうが極わずかだが、甘い気がした。これは良くあることらしい。日本向けの香調とヨーロッパ・アメリカ向けの香りが少々異なっているのである。日本向けのもののほうが、薄くて持続感も弱くてという傾向にあるようだ。香りに甘みやボリューム感が薄いイメージはここから来る。

理由は一応、ネガティブ、ポジティブ両面で挙げられる。ポジティブな理由としては、日本のような高温多湿な環境では乾燥したヨーロッパの香調が暑苦しい場合があるということ。乾燥した環境で、甘くボリュームある香りは心地よいが、湿気が多い環境では臭く感じてしまう場合もある。

ネガティブな理由は、日本人が香水慣れしていないから、薄めても判らないというもの。やはり香水文化の長い欧米では不満を生んでしまう「薄い」香りでも日本人が満足してしまうのかもしれない。もう一つ理由があって、それは大手輸入代理店が、人気が出そうと思うや否や、大量発注を掛け、尚且つ卸値を下げさせること。香水商が自ら日本仕様を別注してしまっているとも言える。

色々な背景があるものの、並行輸入品の香りは濃厚さ、コク、甘み、ボリューム感を持っているように感じた。持続感も良い。パコ・ラバンヌ プールオムはあまりに横道すぎて、そして対象年齢もやや高いフゼアだが、時々かぎたくなる。「良い香水」の勉強にはなるだろう。

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