坂根厳夫「メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い」工作舎 (2010/10/18)

エンタテインメントコンピューティング(EC)20111という学術会議が日本科学未来館(東京)で昨年の10月頃にあったらしい。実はこの学術会議自体を知ったのが、そのイベントが終わってからであった。坂根厳夫は2011年度の招待講演者2であった。

IAMASのホームページ3によると坂根厳夫氏の略歴は、「1930年、青島生まれ。東京大学建築学科卒、同修士。1956年、朝日新聞社入社。佐賀支局、東京本社家庭部、科学部、学芸部記者、同編集委員を経て、1990年定年。同年4月から1996年3月まで慶応義塾大学環境情報学部教授。1996年4月から岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー学長、2001年4月から情報科学芸術大学院大学学長を兼務、2003年3月末同アカデミー及び大学院大学退官。1970 – 71年ハーヴァード大学ニーマン・フェロー。新聞記者時代には芸術・科学・技術の境界領域をテーマに取材・執筆、評論活動を行ない、慶応義塾大学ではサイエンス・アート概論、環境芸術論、マルチメディア・ゼミなどを担当。IAMASではメディア文化特論、メディア美学を担当。1976年以降、芸術・科学・技術の境界領域の展覧会企画プロデュースに数多く携わる。ISAST(国際芸術・科学・技術協会)機関誌『Leonardo』共同編集者(1985 – 1996)同名誉編集委員(1996 – )。」3とある。

「魔女の実験室」4にあるような匂いに関するインスタレーション周辺をネット上で検索していると現代のアートシーンでのサイエンス・アートや環境芸術論、マルチメディアによるアートを見ることになる。そんな中、EC2011の特別講演の内容を知り、この人の仕事はどんなものであったか、また彼が長年見てきたアートシーンはどのようなものであったか、知りたくなった。そこで坂根厳夫の「メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い」工作舎 (2010/10/18)5,6を読んでみた。Amazonの解説によると
「1960年代よりジャーナリストとしてメディア・アートの勃興を紹介し、やがてその教育現場を指揮した坂根厳夫。エッシャーから岩井俊雄まで、境界領域アートの半世紀にわたる歴史をたどる。
アナログからデジタルへ、その波を乗り越えた証人として、これほど具体的に、かつ温かいまなざしで時代を俯瞰できるのは、坂根さんしかいません。(中谷芙二子(霧の彫刻家))」5
とある。

なおU-streamには特別講演の内容など幾つかアップされている7ので、その人柄や彼の見てきたアートシーンの一部をうかがい知ることが出来る。

参考;
1.エンタテインメントコンピューティング2011 | EC2011
2.招待講演 | エンタテインメントコンピューティング2011
3.坂根厳夫(さかね いつお)
4.魔女の実験室
5.メディア・アート創世記
6.メディア・アート創世記/工作舎 ISBN-10: 4875024320 ISBN-13: 978-4875024323
7.Ustream.tv: ユーザー amcgeidai: 坂根 厳夫 先生 2/2「科学と芸術の融合を模索した半世紀 ー境界領域を追った回想録をもとにー 2011/6/23, 講義:芸術情報特論 A 日時:2011年6月23日 (木) 5限 (16:20~17:50) 場所:美術学部中央棟第一講義室 (地図) …
*.情報処理学会デジタルコンテンツクリエーション研究会

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以下に自分として気になる項目に関してメモしておく。

(p.77)1990年に朝日新聞を退社した坂根氏は武蔵野美術大学と慶応義塾大学SFCから教員として要請されたという。退社後は慶応SFCで「現代芸術論-サイエンスアート概論」や「環境芸術論」として講義を持ち、創作活動を指導したとのことである。退社してからが正にアートの教員生活がスタートしたといえる。慶応SFCの後には岐阜IAMASに移り、理系と文系の混在する環境の下、技術と芸術の境界領域を正に立ち上げた。同時期、「けいはんな学研都市」の研究機関ATRで科学技術と芸術をコミュニケーションで繋ぐ可能性を模索するために国際シンポジウムにも参加している。

(p.105)彼が朝日新聞の芸術関係の取材で積み上げてきた技術と芸術の境界領域の歴史が述べられている。科学と芸術の相克を超える思索と試みは坂根氏の以前から行われており、例えばフランク・オッペンハイマーの「エクスプロラトリアム」は大きな契機になったと述べている。今まで科学技術史上の歴史的な展示物を並べるのではなく「新しい手法による展示を通じて体験学習が可能となるミュージアム」を作ろうとしたのである。この潮流は70年代以降、世界の多くの科学博物館に影響を与え、そしてアートとの境界領域の作品まで展示するところも増えてきた、としている。

(p.151)坂根氏の見続けてきた境界領域のアートは、出現当時からそれらアートのジャンルそのものが認知されていたわけではなく、現代美術史の中ではっきりと定義されているとは言えない。70年代以降には次々に新しい境界領域のアートが生み出されるようになってきた。坂根氏はこれらの作品に使われている技術や科学的コンセプトの違いなどから、便宜的に大まかな分類を試み、各ジャンルに関して代表作を紹介している。20世紀前半に登場していたアートのジャンルもあるし、重なり合うものもあるが、と坂根氏は注釈つきで紹介している。(この中に「匂いのアート」というカテゴリも紹介されている)

(p.181)無限音階の錯覚を利用したレコードの話。錯覚を利用して人の関心をひきつけるというのはなかなか面白そう。

(p.211)ホログラフィアートが以前は盛んだったのだが、現在に至っては衰退し、より簡便になった3D作品が多くなっているようである。コンピューターの処理能力が向上し作成が容易になったことや、ホログラムよりも迫力ある立体視メディアが登場してきているから、ということである。

(p.258)センソラマ、五感体験型のゲームとして1955年に登場したが、嗅覚にも働きかけるものであったらしい。

(p.292)交流電流の微妙な時間変化に応じて振動が起こって音を発する作品や、脳波の信号を使って楽器を奏でる脳波音楽や、オーロラの光を元に音楽に仕上げる作品などの試みが為されている。一種の現象芸術的な試みでもある。

(p.353)世界の人口増加と技術革新と、破綻を避けて生き延びるためにはシフトが必要…現代の芸術はこのような観点をも包含しているのであろう

conversation with myself “自己との対話”

(今回は個人的なことを書く) ビル・エヴァンスのうつむき加減にピアノに向かっている写真が好きだ。このアルバムの写真は遠めに視線を遣るビル・エヴァンスの写真で、うつむいては居ないが、独りだ。しかし独りで映ってはいるもののほんのりと夕暮れ色のような光の中に居るかのようにも見え、音楽の求道者が静かな探求の末にたどり着いた凪、もしくは暖かい夕暮れ色の化身のような永遠、を思わせるこの録音の浄福感に満たされているかのようにも感じられる。

アルバムの内容も独りで多重録音に挑戦したものになっている。解説文に拠ると3度の演奏を多重編集しているという。録音技術の未熟なこの時代にあって相当先進的なチャレンジだったといえる。大概別の楽器を用いて、あるいはシンセサイザーなど同じ鍵盤を通しつつも別の音色で演奏できる電子楽器を使うのが一般的な多重録音なのではないだろうか?しかし同じピアノで多重録音をしているこのアルバムはかなりの異端であろう。

時々、このアルバムを聴きたくなる。いつも聴くと音楽のオーラが薄まってしまうので、聴くときは念入りにタイミングを選んで、なるべくヘッドホンでは聴かず、オーディオを念入りにチューニングして大きめの音で聴くようにしている。いつだったかの日記に書いたように、この音を聴くとフランスのアヌシーの大学生寮での遅い夕暮れを思い出す。からりとした空気、何所までも青い空が段々と薄墨色に沈んでゆく、真っ白だった雲は夕暮れのオレンジを反射していたりする。もう一度あの空気をゆっくり味わいたいと、ふと思ってしまっている。何に対しても焦りは感じていなかった。大学を留年したから成績を向上させようという意欲もそこまで強くなく、業績を上げようという見栄もなく、自分や他人の損得を計算したりすることもなく、自分の仕事と信じて何かと何かを網羅したり・組織化したり・再解釈したりする見通しもなく、しかしフランス語を学んで目の前の人と意思を通じ合わせて、日々感じたことを文章化して・結晶化して行こうと、唯していた。そんな感覚。忘れてしまった感覚。仕事に没頭してみても、お酒を飲んで酔っぱらって心がなんとなく自由になったからといって戻ってくる感覚でもなく、戻るべき場所でもない。多分、憧憬であって、ノスタルジーであって、黄金色の浄土なのだろうと、今は思う。

辻邦生の短編「ある晩年」に登場するファンスターデンの境地かもしれない。かつてはその香りに満たされ、その光に満たされていたが、その扉は閉められ、厳重に鍵をかけられている、その香り、その光に心奪われないよう自分の世界を理解し、秩序付け、コントロールして行く。しかし全てが完成し、完結し、そして崩れ去ったとき、再び開いた扉からその香り、その光が我々を包むのかもしれない。

自分にとってこのアルバムはその香り、その光の片鱗を感じさせるものなのである。仮に一時であっても。

Amazon.co.jp: Conversations With Myself: Bill Evans: 音楽
ビル・エヴァンス – Wikipedia
Amazon.co.jp: 見知らぬ町にて (新潮文庫): 辻 邦生: 本 (たぶんこれに収録されている)
「ある晩年」: 辻邦生 への旅

新規に化粧品を輸入できるような体制を整えるには?を調べてみる

1/18に行政書士の先生と一緒に新宿の健康安全部 薬務課 医薬品審査係まで行って話を聞いてきた。

元々化粧品に関しては、「国内で販売又は授与される化粧品は、誰かがその商品の「化粧品製造販売業者」になる必要があります。…化粧品を国内で製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)するためには、「化粧品製造業」の許可が必要です」。このことは例えば輸入のような、一般には「製造」とは考えられない業務であっても、授与・頒布・販売のような目的であったなら「製造販売業」の許可を受けた事業者が「責任者」にならなくてはいけないということである。なお許可は、所在地の都道府県知事が取り扱うことになっている。1

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関連する許可としては
• 化粧品製造販売業許可
• 化粧品製造業許可(許可区分:一般)
• 化粧品製造業許可(許可区分:包装・表示・保管)
がある。

「製造販売業許可」は、製品を市場に出荷(卸売業者や消費者に販売・賃貸・授与)するための許可なので、この許可では製造(包装・表示・保管のみを行う場合を含む)することはできない。
「製造業許可」は、製品の製造を行うための製造所ごとの許可なので、この許可では製品を市場に出荷することができない。輸入した化粧品を保管する場合のみでも化粧品製造業の許可(化粧品製造業許可(許可区分:包装・表示・保管))が必要となる。パッケージの作り直しや法規に従ったラベル作成などもこの許可の範疇になる。2

ただし今回の案件では、「化粧品製造業許可(許可区分:一般)」について作業所・事務所の確保において不許可になる要素があり、対策が必要になると考えている。具体的には分譲マンションの一室(3DK)の一部屋をその作業部屋に充てようと考えているのだが、その部屋を使う際、「住居エリア」と「作業エリアの」区分けが出来ず、衛生上の管理が行き届かないと判断されかねないのである。これらを解決するために、
• 部屋の内装を間取り変更し、「住居エリア」と「作業エリアの」区分けをパーテーション等で行う(それらの措置をとっても許可されない可能性もある)
• 製造業のみ外部委託する(製造業の許可を持っている工場などを間借りし、保管とラベル貼り作業はその間借りしている場所で行う)
• 事務所を新たに借り(買うでも良い)、そこを作業場として申請して「製造業」の許可を取る(もしくは「製造」「製造販売」両方をそこで取る)
等の対策が考えられる。保管や包装の範疇を超えた「製造業(許可区分:一般)」の許可においては作業場、製品保管、原料保管すら物理的に分けることが求められているので、確かに、「住居エリア」と「作業エリアの」区分けが未完了な今のままでは許可が下りないかもしれないとも思う。

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なお「化粧品製造販売業」が為さなくてはいけない役割とは
• 品質管理
• 製造販売後安全管理
• 消費者への情報提供
• 副作用等の報告
• 回収の報告
である3。特に品質管理においては、検査・製品チェックがきちんと為されていること、自組織内でチェックできない検査・分析事項に関しては外部組織との連携が取れていること、検査・製品チェックを工場からの報告書を参考に省略する場合は書類の保存が必要となることなどが必要となる。残り4項目に関しては常識的な対応で対処できそうである(マニュアル化はしておいた方が良いが…)。

(まだまだ調べなくてはいけないことも多いし、未解決の事項も結構ある、続きはまた改めて書く)

参考;
1.化粧品の製造販売・製造・輸入について  東京都福祉保健局
2.1化粧品と薬事法について 東京都福祉保健局
3.2製造販売業者の業務 東京都福祉保健局

関連投稿;
a.aromaphilia: 薬事法と香水の輸入の仕事

11/12/12外池光雄「最近の脳研究から匂いの脳活動はどこまで解明されたか」

香りの図書館「香りトワ・エ・モア」セミナーでこのテーマの一般セミナーが開催された。元来興味を持っていたので聞いてみた。メモをアップしようと以前より考えていたので転記しておく。

脳科学はかつて動物生理学的、神経生理学、電気生理学といった侵襲的な研究手法がとられていたが、近年になって脳電位・脳波、近赤外光を用いた光レコーディング、脳磁場といった非侵襲的な研究方法がメジャーになってきた。脳が働いているとき、どの部分が活動しているのか明らかになってきて、脳モデルのシュミレーションもなされるようになってきた。

嗅覚に関する研究は遅れてはいたが、だいぶ脳のどの部分が活動しているのか、どのような情報信号のルートを経るのかが明らかになってきた。ポイントとなるのは嗅覚は古い脳と強く関係していること。脳の進化は爬虫類の脳→旧哺乳類の脳→新哺乳類の脳に大まかに分けられ、受け持っている機能が異なっている。多くの感覚はほとんどが旧哺乳類の脳である帯状回にあるが、嗅覚に関して嗅覚細胞で知覚された信号は爬虫類の脳に作用するのである。嗅覚が他の五感と異なる点として以下の特徴が挙げられる
• 匂いの記憶は五感の中で非常に長く残る(プルースト効果)、幼い頃の匂いの記憶は残っている
• 匂いに対する脳反応は早い
• その匂いを嗅ぐまでに嗅いだことのある匂い(記憶にある場合なら)海馬が反応する

今後、重要になっていくであろう研究テーマとしては「脳内の五感情報統合機構の研究」が挙げられた。匂いと画像の同時刺激に対する反応が調べられたり、学生とトレーニングを受けた調香師での脳波の比較をすると「知っている匂い」を知覚したときの海馬の反応が異なっており「経験があれば同じ匂いでも脳の反応は異なるのだ」ということが報告された。匂いの知覚は、まず嗅覚細胞から嗅球・糸球体まで神経軸策が伸びており、そこで知覚される。嗅覚細胞の受容体は遺伝子上は1000種類ほどは存在することが可能と考えられている。ただし、これは休眠遺伝子も含まれているため、発現するのは300種類くらいであろうと考えられている。実際の匂いの知覚はこれらから発せられる嗅覚信号を再統合して知覚していると考えられるのである。

また、嗅覚信号は他の五感と再統合して知覚される事で、別の印象になっていると考えられる。例えば、食事しているとき口腔内から立ち上る食品の匂いを、喉の奥から鼻まで繋がったルートから嗅いでいる。これはレトロネイザル嗅覚と呼ばれるが、鼻から直接嗅ぐ匂いとは別物として知覚されているようである。加えて五味の味覚や歯触りや温かさといった触覚と複合的に知覚されて「呈味」として認識されているようである。これらは知見としては古くからあるが、脳科学として科学的に証明されるべきテーマであるだろう。外池教授自身もそう考えているようだった。

(取り急ぎ書いたので、後日修正・補足するかもしれない)

aromaphilia: メモ;色々な香り研究の先駆者 (外池光雄)
|書籍|(香り選書 17)匂いとヒトの脳 〈脳内の匂い情報処理〉|フレグランスジャーナル社

誰かネットワークプレイヤー用ベアボーン作ってくれない?

ちょっと駄文を書く。ここしばらくネットワークプレイヤーを調べてみていたのだが、なんだかどれもこれも互換性が低い。それにかなり値段によって搭載機能に制限がされているような感じがして、面白くない。オーディオ業界の体質が透けて見え、食傷気味だ。

ちょっと欲しいかも、と思って正月、調べまくってみたブルーレイディスクプレイヤー、デノン「DBP-1611UD」1やマランツ「UD7006」2。どちらもブルーレイディスク、DVD、SACDといった大概のディスクが再生できることを売りにしたマルチディスクプレイヤーで、ネットワークに接続してfirewareアップデートやネットワークプレイヤーの機能を持っており、かなり類似した構成となっている。調べてみたら兄弟機とのこと(蛇足、Cambridge AudioのAzur751BDも兄弟らしい(?))3。機械は出力処理の部分がそれぞれオリジナルで、マザーボードやOSはほとんど共通のようだ。というかマルチディスクプレイヤーにネットワークプレイヤーの機能が搭載できるのであればNA7004要らなくない?かなり値段によって搭載機能に制限がされているような感じがして、ちょっと醒めてしまった。

あったら面白いのに、という製品は「ベアボーン」。Win7かandroid OS搭載の静音&省電力ベアボーンで外部USB/SATAでハードディスク追加でき、PCIかPCI-exあたりの拡張スロットを搭載し、チューナーボードやオーディオカードを挿せるようにする。市販のオーディオボードはマルチチャンネルに対応するものもあるし、ゲームクオリティの画質を表現できるグラフィックボードもあるし、それらを組み合わせることで高表現力なチューナーになったり、ハイレゾ音源再生装置になったり出来るはず。機械操作はplugplayerのような各種DMCソフトでネットワーク越しに操作するし4、本体アップデートもネットワーク上からPCで行えるようにする。

どうだろう?こんなベアボーン。個人的にはパソコンショップのオリジナルや玄人志向あたりから¥15000~¥25000あたりで出してもらったら遊べるのになぁと思ったりする。

参考;
1.ASCII.jp:デノンから多彩なBDプレーヤー「DBP-1611UD」が登場
2.マランツ、DLNA/3D BD/SACD対応プレーヤー「UD7006」 -AV Watch
3.marantz ud7006 cambridge azur 751bd  音質 画質 比較 試聴 テスト
4.DLNA認定™デバイスクラス | Digital Living Network Association

関連投稿;
a.aromaphilia: デンオン「DNP-720SE」実機を見る
b.aromaphilia: MARANTZ – NETWORK AUDIO PLAYER – NA7004 日本向け正式発表
c.aromaphilia: MARANTZ – NETWORK AUDIO PLAYER – NA7004

12/1/7 Coffret Project「香りと物語」 に飛び入りしてみる

フランスの香水のメゾン L’Artisan Parfumeur の香水を色々見せてもらいながら、調香師の目に映る世界、心の中に広がる印象を見てみましょう、というCoffret Project主催の香りのワークショップが1/7にありました。丁度j-waveを聞いていたら、主催者で代表の向田さんが番組参加してイベントを告知していたのを聞いたのです。

Coffret Projectは、「世界中の女性がより自由にそれぞれの可能性を開花させることができる世界の実現を目指して化粧を切り口に、国境や人種、言語の壁を越えて人々が喜びを分かち合う」ことをめざそうとする非営利団体のようです。Coffret Projectの活動は
1)Workshop~お化粧ワークショップ
2)Collection~化粧品の回収…日本において、あまった化粧品を1)のWorkshopに利用
を主にしているとのこと。今回のイベントも収益は活動運営資金として利用するとのこと。

自分が元々、香りに関する勉強をしたいと思った背景には、「香りが人々にイメージを引き起こさせるその作用とは何なのだろう」という疑問があったのです。このWSではラルチザンパフュームの香りを試しながら、その香りの世界を参加者でディスカッションしながら、最終的にはラルチザンパフュームのスタッフが解説してくれる、ということで面白そうだなぁ。と。

香水は色々なパートの配合で一つの作品になっています。トロピカルフルーツのイメージがし出てきたり、マグノリアやオーキッドといった花の香りが出てきたり、しっとりとしたアーシーな香りに石の古代遺跡のイメージを感じたり。その香水が漂ってきたら、どんな風景が思い浮かぶのか、食べ物や雑多な市場かもしれないし、海辺や森の中かもしれないし…。「旅先で出会った突然の雨や、一度きりの待ち合わせ場所…。旅の大切な思い出を香りのエッセンスに置き換え、物語を綴る」…ラルチザンパフュームの香りは挑戦的な香りかなと思うのですが、独自の世界を覗く事が出来て、なかなか面白かったです。

参考;
1.コスメで仕掛けるすてきなこといろいろ〜Coffret Project » 1/7 Sat. 香りと物語 vol.2
2.ラルチザンパフューム ジャポン / L’Artisan Parfumeur Japon

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特に気になった香水をちょっとメモしておきます。(勝手なことを書きます)

Nuit de Tubereuse(ニュイ・ド・チュベルーズ)~月の花~
…パリの夏の宵の初めのイメージとのことで、そう言われるとなんだか納得した感じの香調です。どうも入浴剤的な粉っぽさはクマリンとかのためだと思います、そんなに底の方が固めらていない感じで、しゅわしゅわしたサイダーのような発泡感を感じました。「官能的」という言葉が出てきていましたが、ワインで言うとフルボディではなくライトボディ、赤ワインというよりはロゼ(白というほどキリリとしていない)、脱力した色気のようなイメージなのでは?と思います。

TRAVERSEE DU BOSPHORE トラベルセ ドゥ ボスフォール― イスタンブールの空 ―
…とても面白い香調。今回見せてもらった中で、個人的には似合う人を探したくなる香りでした。エキゾチックで乳白色のイメージ(その乳白色さはキャンディ「花のくちずけ」のイメージです)。参加者の方々からは結構年配の女性に似合うという意見も出てきましたが、30代前半の男の人でも面白いのかも。淡いパステルカラーの空、もしかしたらトルコ石のような水色、時々とても不透明なピンク色にも感じる。

一番最後のコーナーは、自分の実際に行ってみたことのある・自分の想像上の土地を作文してみて、どんな香りが作れるかイメージしてみましょう、というコーナーでした。「宇宙の香り」という話とか、ギリシャで倦怠期の妻が出会ったプラトニックな恋に落ちてしまった現地の男性の匂いとか(この人の話は面白かったです)。

自分は一度だけ行ったことのある、「オーストラリアのシェルビーチ」の話を提案しました。せっかくなのでここでご紹介します。

「オーストラリア西の都市パースから北の乾燥地帯へ向かっていくと、インド洋に面したところにシェルビーチという場所があります。見渡す限り白い貝殻しかなくレンタカーを降りてその会で出来た、砂丘のような丘を歩いて海辺まで行こうとすると、貝を踏む自分たちのパリパリという足音と吹き抜けてくる風の音しか聞こえません。空は抜けるように青く、海も物凄く青く、海辺は静かな波音だけが聞こえていました。世界の果てがあるとしたら、こんなに綺麗で静かな場所なのではと思いました。」

参考;
3.ラルチザンパフューム ジャポン / L’Artisan Parfumeur Japon Nuit de Tubereuse
4.ラルチザンパフューム ジャポン / L’Artisan Parfumeur Japon TRAVERSEE DU BOSPHORE
5.シェルビーチで白い貝殻のビーチから時の流れを感じる | 西オーストラリア 秘境ガイド | カンタス航空

香気のライブラリを整備したい

簡便にライブラリという言葉を使ったが2つのライブラリを考えなくてはいけない。
• 単品ケミカルのマスパターン1
• 天然香気や実際の商品の香気のガスクロ分析結果 (香粧品・食品)
単品ケミカルのマスパターンは実際の香気の混合物にどんな成分が含まれているのかを定性分析する際に必要となる。それに加えて各成分がどれだけ含まれているのか定量分析した結果が後者の「天然香気や実際の商品の香気のガスクロ分析結果」である。後者は新しく香りを創ろうとしたときにとても参考になる。

市販のライブラリにはどんな化合物が登録されているのか。既存の市販マスパターンのライブラリにはNIST2のものとWiley3のものがある。これらのマスパターンにはどんなケミカルが含まれているのか?リスト化して、明確化、どんな重要なケミカルが不足しているのか理解しておかなければ成らない。

なかなか難しいかもしれないが、天然香気分析をやっている大学の研究室と協力して香気物質マスパターンのデータベースを取得・構築できないかと考えもする。難しいかもといったのは、香気分析にこのライブラリ整備が重要なポイントになることは「暗黙知だから」。また香気サンプルの入手ルートは困難な場合もある。そのために共有化には抵抗がある可能性も高いと考えている。

香気ライブラリーそのものに関しても自分でやるとなったら、決めておかなくてはいけないことも多い。それらも併せて考えて、必要なのは
• 香気分析方法の固定化(RTを共有化できた方が望ましい)、昇温パターンの決定、内部標準物質の選定
• 香気ライブラリの整備、さらには単品ケミカルの入手ルート確保
• 天然香気の入手
• トレンドの香気入手(香粧品・食品)、それらの入手ルートの確保
といったところか…

参考;
(マススペクトルについて)
1.マススペクトル – Wikipedia
*.Waters: 一般的なイオン化
2,3.マススペクトル検索 | アジレント・テクノロジー株式会社 
(NIST98について)
*.Amazon.co.jp: Wiley 7th Nist 98 Epa/Nih Mass Spectral Library up Grade: NIST: 洋書 *市販CD版
2.NIST 98 – NIST/EPA/NIH Mass Spectral Library – Flyer *pdf

関連投稿;
a.aromaphilia: ガスクロ(GC)に関する基礎知識的なメモ
b.aromaphilia: メモ;TEAC (11/19-21)
c.aromaphilia: メモ;TEAC (11/19-21) ②

ノイズキャンキャンセリングイヤホンPhilips SHN6000を買う。

何度かノイズキャンセリングイヤホンを見たこともあって、最近インターネットで情報収集をしていた。

ノイズキャンセリングはイヤホンの外部を集音するマイクが付いており、その電気信号をアンプまで戻し、外部ノイズを打ち消すような逆位相の音を音楽信号に乗せて、二つの合わせた音をスピーカーから発することでノイズを打ち消して音楽を再生する。そのためには右+左にマイクがあって、それらの信号と音楽信号をミックスして増幅する専用のアンプが必要になる。

そのためにはプレーヤーと別のアンプが必要になる。アンプが必要になるということは電源が必要になるということでもある。大概の外付けノイズキャンセリングイヤホンは別途電池が必要な製品がほとんどである(余談だがbluetooth式のワイヤレス機能とセットな高級機もある。別電源を用意するからには多機能に、ということである)。またノイズキャンセリングが前提になったポータブルオーディオもソニーから出ていた。ただしこの場合は外部ノイズのマイクからの信号端子もあるので、イヤホン端子形状が通常とは異なり、専用品となる。

iPod / iPhoneシリーズには電源供給も可能な30ピンのdoc2が存在している。このdocは元々アナログアウトを取ったりパソコンにマウントしたりする目的で使用されているものであった。一応設計は非公開らしいが、アナログアウトが取れて電源供給も可能なので、これを用いればノイズキャンセリングイヤフォンのアンプを駆動させることが出来る。実は初代ipodの時代からそのような商品は実用化されており、Philips SHN60001などはそのような商品の一つであった。現在、Philips SHN6000は絶版である。Philips からは後継機種は出ていないものの、同様のコンセプトの商品が他社から出ている(Blackbox – i103など)。

Philips SHN6000のデッドストックが割と安価に買えたので、購入してみた。感想は音質的には高音域が強く、それまで使用していたSHE97004には少々劣る感じだ。ノイズキャンセル機能は小音量時には効果はほとんど確認されない。しかし電車の中、特に飛行機の中のようなメカニカルなノイズの大きい環境下では相当疲労感が低減する。喫茶店で勉強するときなどにも効果が上りそうな感じだ。

参考;
1.フィリップス、NC搭載のカナル型イヤフォンなど5モデル -AV Watch
2.30ピンDockコネクタ ‐ 通信用語の基礎知識
3.PHITEK blackbox i10: iPhone対応、電池要らずのノイズキャンセリングイヤフォン。圧巻の遮音性能です!
4.iPod レビュー 2012年 iPodレビュー おすすめイヤホン比較

動く、動かす、積み上げる、そして統合する

(今回は私的なことを話す②)福岡の実家には自分の本や書類がたくさん残してある。正月を利用してこれらを少し片付けてきた。

自分の本や書類は本来ならば自分の近くに保管しておいて必要なときに見返したり出来るようにしておかなくてはいけないと思う。必要が無くなったとき、移動するときに自分が書いてきたものや、選んで集めてきたものを一斉に処分してしまう人がいるが、自分はその感覚がちょっと分からない。確かに数年間それを読み返すことは無いのだろうが、自分にはそれらは捨てられない。しかしそんなものに縛られて自分が新しい場所に飛び込んでいく際の足枷になってしまっていてはいけないとも思う。もちろん立つ鳥跡を濁す、というのもまずいのだが。

2007年の春に大学から関西の会社に移動したときには、福岡の小笹の実家から会社の寮に移動をした。そのときには実家にだいぶ荷物を置いたまま、寮には最小限度の荷物だけを持って移動した。本もCDもほとんど置いたまま移動した。「鞄一つだけ」という感覚を持って寮に入った。2009年の夏に寮から京都の家に移ったときには、全ての荷物を搬入できる計算だった。

2010年の春に京都から川崎に移動するときには再び荷物を減らした。シンプルな洋服だけと関連する本とベットとオーディオとパソコン。ベットが増えただけで寮に入ったときと基本的には同じだった。他は福岡に送ってしまった。いくつもあった服も本も保存はするが2年は広げないで専念しようとした。自分が貯めてきたものであるという感覚もあったので捨てられなかった、荷物は出来るだけ整理をしながら詰めた(その後、何回か資料を探す羽目に何回かなったが無事発見できた)。

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この3回の移動は二つの感覚を伴っていた。
• 新しい場所へ全てを捨てて最小限の荷物だけで動けるのだという感覚
• 自分の積み上げてきたものは最終的にはひとつに統合され、自分を作り上げ続けるのだという感覚
自分は鞄一つで飛び込んでいくが、最終的には自分で結果を一つに統合して行く。必要であれば、全ての荷物を整理して、運び出しを自分で手配して、必要であれば貨物車を自分で動かすことさえも厭わずに動き続ける。

しばらく両親には迷惑を掛け続けることになってしまうのだが、当面は後ろを振り返らずに、そして身軽にしておきたいのである。今までのものは時折整理しよう、そして機に際して動ける実力と気力を蓄えたい。

CD Higherを今更買う

年初めに福袋というのも良いですが、香水を変えて心機一転、今年の自分を組み上げようというのも良いのではないかと(勝手に)思っています。モデルチェンジ前のボトルが結構安価になっていたというのが動機のひとつでしたが、もともとシャープな知性と上向きエネルギーな香調を感じられるこの香水は注目していたのでした。バシッと着けてぐいぐい仕事をしてゆこう、という訳です。

香りの勉強を始める以前、大学の研究室のころ着けたのが「インカントプールオム」でした。トップのフレッシュなシトラスからシダーやアルモワーズのようなニュアンスに繋がってゆくメンズらしさが、「仕事するぞ」という気にさせてくれたものでした。そのボトルはもう終わってしまって、その後、芯からアップ系メンズというものはなかったのです。というわけで今更ながらhigher。