「香りの科学と美学」(藤森嶺)

■2010年01月19日(火) の日記より

「香りの科学と美学」(藤森嶺)は東京農業大学を定年退職した著者の早稲田大学での社会人講座をベースに、またはその教科書として書かれた香り文化につい ての人文書。一応は化学系だが自然科学でも工学でもない。もともと香料・香りというものを研究する学問分野は無く、それについて語ろうとすれば化学、心理 学・文化人類学、あるいは服飾論(特にフレグランスは美術とも繋がりうる)、食品衛生学(広域に目をやれば農学)、生物学・医学と広範な学問分野に精通し ていることが求められる。この本はそんな香料・香りを「講座」として成立させるために、また同時に子供に諭すように噛み砕くことをなるべくせずに、各界の 現場の人間を執筆者・口演者となるような感じに、各章ごとに自由自在に・深く講座が進む。なかなかに読み応えがあった。

http://www.amazon.co.jp/%E9%A6%99%E3%82%8A%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%A8%E7%BE%8E%E5%AD%A6-%E8%97%A4%E6%A3%AE-%E5%B6%BA/dp/4886942105
より
出版社: 東京農業大学出版会 (2009/05)
ISBN-10: 4886942105
ISBN-13: 978-4886942104

文章の電子化をしてゆこう 続き

面白い。電子書籍に関して、業界内で電子書籍への対応は遅れているのに対して、PCに関してそれなりの知識を持つユーザーは自分で電子化をして、そのユーティリティを存分に利用している。もちろんその利用は法的にはグレーゾーンとなるわけだが、NHKが「自炊派」について取り上げるなど、かなり浸透していることも確かなのである。

しかしながら、書籍の電子化の真の価値はデータそのものの電子化なのである。検索を掛けたり、文書作成時にコピー&ペーストをしたりその価値は、計り知れない。

今、強力に自分の手持ちの書類の電子化を進めようと考えている。そのプランは

1. 本の裁断

2. ADF付のスキャナーで連続読み込み(高画質読み込み、600dpiは欲しい)

3. 透明テキストデータ付PDF化、画像データのダウンクオリティ化(HD中での容量を抑えるため)

4. ネットワークHDへのストレージ化

5. ISBNコードやDOI(学術文献番号)による管理 (これに関してはマネージメントするソフトを捜索中)

6. ビューワーによる閲覧

7. PDF管理ソフトによる管理、想定しているソフトはadobe acrobat、mendeleyである

参考ページ

http://blog.livedoor.jp/businesslaw/archives/52029061.html

http://help.adobe.com/ja_JP/Acrobat/9.0/Standard/acrobat_standard_9.0_help.pdf

http://fuji.u-shizuoka-ken.ac.jp/~ishikawa/newread.htm

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4887598084

文章の電子化について考える、OCRとか

学校の本をはじめ、重要な文献がたくさんある。にもかかわらずその所在はノートの走り書きであったり、本のコピーであったり、古い文献の写しだったり、あるいはインターネットからDLしてきたPDFだったりする。

色々なデータや知見を集めるのは良い。だが必要なときに素早くその見たことのある文献を引き出し、短時間で必要な箇所を書き写すのにはどうしたらよいだろう?自分は文献の保管形態としては、紙体ではなく電子化して自分のHDに入っている状態が最も望ましい、と考えている。

古い文献になれば画像としてのデータでしかないこともあるし、本の中から必要な部分を探すためにはどうしたらよいだろう?これを解決するのがOCRであると考えている。ただの画像データとテキスト情報のデータではそのライブラリーの価値は大きく違って来る。素早く必要な文献を引き出すのにはコンピュータの検索を使い、短時間で必要な箇所を書き写すのにはテキスト化された文献の該当箇所をコピー&ペーストするためにはテキスト化されていることが必要なのだ。OCRは民生向けソフトではまだまだ変換識字率が問題となることがあるが、学術的な書類管理ソフトの利用者には、OCR処理がなされていれば、その整合処理が完了していなくても、文献中において重要である用語は何度も出てくるのだから、そのデジタルライブラリーの利用価値は十分高まるという意見もある。

ライブラリーの電子化後に重要性を増すのが文章一括管理ソフトまたは文献管理ソフト(紙体のものと共存しない場合、やや学術寄りな場合にはこちらのほうが良さそうである)だと考えている。現時点においては文献の管理ソフトはたとえばMendeleyとかEnd Noteを想定している。これらは学術、特に医薬系、医師系の学術文献整理・検索用ソフトである。この手の学術向けの書類整理ソフトは本が出るほど充実しており、ソフトが有償か無償かによってさまざまだが、Mendeley(無償)やEnd Note(有償)は主要な代表例といえるだろう。本来、自分のやりたいこと自体が研究に近いものなので、学術向けの整理ソフトのほうが自分のパッケージにはむいているのではないだろうか?

加えて、リファレンスばかりではなく、自分の記述したものに対しても、検索がかけられ、リンクが付けられるようなものがないだろうかと探している。自分の書いたものも含めてPDF形式に統一、一元化管理というのが良いのではなかろうか?

とにかく紙体で保存してある文献を電子化してしまおうと思っている。それもこの夏中くらいに。とりあえずエプソンのES-8000をオークション経由で入手した。ADFは付いていないがしばらくはこれでやってみよう。

私について、このブログで書こうとしているコトについて

yhuaと申します。アカウントは数字を混ぜないと取れなかった関係上yhua0917となっていますが、yhuaとさせてください。僕は香り、匂いを追いかけて、この2010年の春から調香の勉強を始めました。このブログを開設した事由は、自分の考えたことを外に向けて発信することが、今の自分にとって必要だったからです。

今までは僕は「化学」の世界に居ました。「化学」は「科学」です。学ぶのに時間は掛かりますし、なかなか理解できない概念が現れたり、実験をしても「証明」までに到達できない理論があったりしますが、その根底は理路整然とした「科学」です。しかし調香は「感覚」です。自分の作った香りが人に好かれたり好かれなかったり、面白がらせたり気持ち悪がらせたり…。調香が芸術に属するものだといわれる由縁です。

そこまでは概論的に分かりました。でもその仕組みについて少しでも理論があって欲しい、どうなっているのか知りたい。そう思ってしまうのが僕の性質のようです。だから調べるし、調べたものはどんどんリンクしてゆきたい。やがてその知識の断片、着想、感じたこと等などは繋がり始め、クラスターとして自分の眼前に広がってくれるのではないかと考えています。

そう、知識の断片、着想、感じたことがまずは重要、それらを集めること掬い上げることをはじめないと何も得られない。しかしバルクの知識はすぐには役に立ちません。まず一つ一つの断片を発信するという「練り上げ」の過程を経てきちんとした塊にします。そしてそれぞれを再結合したりしながら、追い求めている香りの世界に到達してゆきたいと考えています。

いずれにしてもブログを設置する場所は見つけたので、はじめようと思います。このブログスペースはアニメーション作家のamicaさんや、香料や香りのインスタレーションやワークショップを積極的に展開している「魔女の実験室」のmakiさんのブログが置いてあります。尤も無料で展開できるというところが一番の決め手だったのですけれども。