香りの創造と香りの“科学的”イメージ~ ルカトゥリン on TED

Twitterでルカトゥリンに関する話で盛り上がった。自分が、ルカトゥリンがTEDで話しているアーカイブをネット上の検索で発見して、evernoteにメモをするだけでは勿体なかったので、ツィートをしたのがキッカケだった。もちろん今更感はあるが、ルカトゥリンが振動論をTEDで喋っているというのはそれなりに価値のある事だと思えた。メモとしてツィートを打った。

ルカトゥリンは香りの科学においては振動論を支持していた人間として知られている。彼の仕事はこれがメインなのではなく、香料産業側にいるようなのだが…(詳しくはwikiにあったので参照ください)。

ルカトゥリン自身は香水に関しての本もいくつか出しており、その中には現在入手可能な香水を網羅した香水評価をまとめた著書「世界香水ガイド1437: 「匂いの帝王」が五つ星で評価する」もある。たいがいの入手可能な香水に関しての評価がなされている。実は知り合いの香水店でもこの本を一つの評価軸と考えていて、日本未導入の香水でもこの本の評価が良い物に関しては、入手経路を考えたり、海外買付時に安価だったら購入したりしている。自分自身も彼の「香りの愉しみ、匂いの秘密」を読んだことがあって、振動論の部分だけは思想が違うので受け入れなかったが、その他の部分では結構面白い本だな、と思っていた。

もう一つ振動論がらみで普段から考えていることがある。今となっては振動論を積極的に肯定できる科学根拠はないのだが、香りのクリエーションには振動…放射される波動や音階的解釈…ひいてはオーラのようなものとしての理解は必要であろう。と思う。香りを作るときに、「オーラ」とか「放射されるエネルギー」、「共振」という解釈を持っていると、クリエーションと香料物質の感覚面での摺合せがうまくいく気がする。香りのクリエートと香りの振動論は相性が良い気 がするのである。

和音にオーラが宿るのかな、香りのアコードにオーラが宿るのかな?…それらは美学を追求することであり、その探求はアーティストの仕事であるように思う。アーティスティックな創作活動において、創作物のイメージを把握すること、自分が作ったものではない創作物についてもそのイメージを(自分なりであっても良いから体系的あるいは唯物的に…(?))把握することは必要であって、その上で自分の創作能力を駆使して、創作活動をする。これが香りに限らないアーティスティックな創作活動の本質であろうと思う。その際に、その創作対象は科学的に理解されてなくとも良い。また創作物のイメージが科学的根拠に必ずしもリンクしなくても良い。その創作活動のイメージの生成土壌として振動論は必ずしも悪いものではなかったのではないか、と思うのである。

TED収録は2005。振動論として香りについて科学として語ることは、おそらくこの時期くらいまでしか許されなかったであろう。それと前後してbuck axelが嗅覚受容体の存在証明でノーベル賞を受賞し、科学的存在価値が確立したからである。

ルカトゥリンは香りの科学も解り、香りの美学も判る人だったのだろう。

自分も香り自体の美学も、科学(化学~science~心理学とかまで)も分かる人になりたいと思っている。香りの科学と、香りの美学の両面が判る人間になりたい。

1.Luca Turin on the science of scent | Video on TED.com
2.Luca Turin - Wikipedia, the free encyclopedia
3.luca turin (lucaturin) on Twitter たぶん本人
4.世界香水ガイド: 「匂いの帝王」が五つ星で評価する - ルカトゥリン, タニアサンチェス - Google ブックス
5.香りの愉しみ、匂いの秘密 - ルカトゥリン - Google ブックス

関連投稿
a. aromaphilia: 香りインタラクションについて少々考えてみる
b.

コメントを残す