日本の文化・嗜好性について考える 香道に関して

(2013/4/28)
GWにあった大学時代の友人の結婚式には部同期の仲間も来ていた。彼も新卒で入った会社は辞めたが、彼の場合は起業して、茶道や日本文化を深く理解しているというバックグラウンドを武器に、日本文化的な商品の企画・輸出をする仕事をしている。今は京都に住み、直近では和菓子の輸出に関する仕事をしているそうだ。その関心の一環として日本の香りである香道にかんしても興味があるようだった。

しかも伏見に住んでいるということなので、伏見であれば小規模な醸造元が良いお酒を作っているし、山本酒造の隣のトヨダさんは作家ものの買いやすい値段の器を用意してくれている。そのようなものを商売のアイテムにしても良いような気がする。結構日本の文化の程度は高く、海外の人々を魅了できるようなものがあると自分も思う。

香道・香木・香料について。ただし香道も難しいがかおりとして理解することも必要なのではないか、と思ったので少し書いてみる。香気物質としての香りの理解することで、香道で出てくる香りの特性を見てみる。

香道で用いる香木は白檀(サンダルウッド)、沈香、伽羅である。沈香と伽羅は植物としては同じもので別名アガーウッド、クオリティが良いものを特に伽羅としているようだ。

サンダルウッドは香水の材料としてよく選ばれる。香水の世界ではアガーウッドの知名度はそこまで高いものではないが、上手に使用すれば高級感のあるフレグランスにできるのではないか?どちらも水蒸気蒸留のアロマオイルタイプの原料を見たことがある。この沈香に関しては、流木として漂着したものの方が優れた香気であるとされている。海水、日光、熱、あるいは天然の微生物や酵素によって植物の組織が分解され、人間にとって心地よい香気成分が生成してくるのだと考えられる。実際に新しい沈香は聞香炉に使用すると、普通の木片のように焦げた灰が残るが、古い沈香は聞香炉に使用すると、プラスチック樹脂のような粘性のある液体が残ることがあるようである。植物の組織の分解と、人間にとって心地よい香気成分の生成を証明して居るように思う。昔の人は遠い南の海からやってきた流木が、人間の手を経て持ち出された沈香よりも優れた香気を持っていたから別名をつけて珍重したのであろうと思う。

良い香気の沈香はなかなか手に入らないようだ。香料、特に天然香料は、良し悪しの目利きができる人が少ない、良いものは希少で高価。古い銘茶碗でもそうだが、そのような商品は「特殊な市場」で取り扱われ、そういったマーケットは分かりにくく閉鎖的である。だが、ブログ「魔女の実験室」で東南アジアの方の香木店の話が出てくるが、本当に良い香りを嗅ぎつけられたら、古い街というのは、本当に面白いのではないだろうかと思えてくる。そしてそこに良いものを求めて出会った友人(商売としてその世界に入るとなかなか友人にはならないものだろうけれども)が居れば、より人生は面白いのではないだろうか。

何万円もするちっぽけな木片 〜アラブ・ストリート物語〜

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