セスキテルペンの香料

天然の香気物質の中でも炭素数15個の化合物は大まかに言って木の匂いのするものが多い。

木というと森の香り、栗の木の匂いやフィトンチッドに代表される針葉樹林の清々しい匂いを思い浮かべる人もいるだろうが、今回話題として話したい匂いは、木とは言っても新品のヒノキ材の匂いとか、おが屑の匂いのほうだ。

この木材の匂いは香料的には「ウッディ」という言葉で表現される。アロマテラピーで、同系等の匂いが「アーシー(土的)」とも表現されることもある。

このタイプの香りの香料はほとんどが天然だ。というのも、セスキテルペン類ともなると分子量が高くなり、沸点が高くなるために精製が困難になる。仮に合成ルートがあったとしても合成後の精製作業が出来なかったり、天然から単離してくるにしてもせいぜい水蒸気蒸留を用いるのがせいぜいだったりする。目的物質の精製方法としては、実験室レベルではカラムクロマトグラフィなどの分離抽出方法があるが、商業レベルでは単価の著しい上昇を伴ってしまうために採用できない(医薬品などは例外)。ちなみに商業レベルで用いられる方法としては、再結晶、蒸留(分留)、抽出がある。というわけで、ウッディ香料の中心は天然から抽出した香料、またはそれを出発物質にして化学修飾した合成香料になる。天然の代表例としては、パチュリオイルやベチバーオイル、サンダルウッドオイルやヒノキオイル等など(またそれぞれを単離精製したものもある。合成タイプ(化学修飾したタイプ)としてはVertfix (Coeur) やiso-E superなどが有名だ。

セスキテルペンの中にはウッディではない香調の物質もある。ある特定の構造を持つ香料は明らかにウッディと異なる香調をもっていたりするのだ。たとえばダマスコンという香料物質はカシスのような重たい甘い香りを持っている。ちなみに異性体によって少しずつ香調に差がある。基本的にはウッディ香調だった化合物群うち、特定の化学構造を持つものの香りがウッディではない特異的な香調を発現するのである。

このような合成香料のターゲットモデルの選定は、実のところ学術の世界にもほとんど出てこない。しかしそこには何らかの理化学的アプローチが可能なはずであって、個人的にはとても知りたいところだ。

(未完成記事…後日記事内容修正します)

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