香料原料開発

香料原料の開発は、主に有機合成からのアプローチとしてなされる。世界的にはフィルメニッヒ、日本国内では高砂が合成系に強い香料会社といわれている。

さて香料に限らず、新規化学物質を市場に出すためには安全性(有毒かどうか)や環境への影響(作る工程の確立時にもプロセス自体の安全性や環境負荷も問題となるが、その話はおいておく)を明確にして、国内法に合致したプロセスを立ち上げて製造することになる。またその原料が明確なパフォーマンスを示すかどうかは莫大な投資をする会社にとって重大な関心事で、その商品候補の新規化合物は厳しく吟味されることになる。このような2つのハードルのために、有機合成系の研究者が提案した新商品候補や製造法の候補のうち、プロセスとして立ち上がり、日の目を見るのは極々一部だけである。

上記のプロセスを考えてもらえば分かるように、香料のケミカル開発は製薬の開発と似ている。日経新聞を読んでいて、気になる記事に「日揮」の記事があった1)。日揮は化学プラントの設計と立ち上げ支援をする会社。製薬系の製造技術はバルク商売の化学工業とは結構異なると考えられるのだが、プラントノウハウや触媒技術に関しても積極的に社内資本として整備しようとしているのだなぁ、と一連の記事を見ていて感じられた。

合成屋としての能力が低い香料会社が新規化学物質での商売に手を出そうとした場合、新規化合物の選定に関しては、特許調査・学会調査とコネクションを利用した入手・大学研究室を使った試験的合成から何とかなるだろうが、特許買取後に安全性確認や環境負荷の評価、それらがクリアされるとプラント設計と製造設備が問題になってくる。そのような際、製薬系についてもノウハウを持つ会社が設備立ち上げとプロセス設計のブラッシュアップに参与してくれるなら、結構良いものが立ち上げられうのではないかと思う。実際にはこのような会社との付き合いをしたことは無いが、注意して情報収集してみたいなぁと思っている。

1. 日揮、医薬開発支援事業を拡大 東京CROを買収 :日本経済新聞

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