天然の化粧品・機能性食品に関する課題

高級化粧品、機能性食品に関しては生体由来の機能性物質というものがキーになっていることが多い。昨今の、ケミカルに対する不信感とそれと並行して出てきた天然志向から、ダイエットや抗酸化作用、美白といったアンチエイジングの技術・根拠として特殊な植物エキスや発酵食品からの抽出物を配合しているという文言をよく見かける。天然由来ということが副作用もなく安全そうだという安心感を生んでいる。このような流れを受け機能性原料の探索の範囲も植物、発酵食品、微生物・発酵菌へと広がる。先進国内に存在する探索はもう尽くされており、自ずから探索は僻地へと向かう。

先進国の技術者・企業はそのような有用新原料を「発掘」し、新商品として先進国で高付加価値商品として商品展開する。だが発展途上国としてみれば、もともと自国にあったものが「持ち出されて」、高値で商取引されつつも「自国の利益に全くならない」という面白くない事態となる。もっとも自国内の技術のみでは商品化できないのだが、その利益の一部分くらいは「原料供給国」として「得る権利があるはずだ」という政治的な問題へと発展しているという。

そんな状況下「生物多様性条約(COP10)」で一定のルールが確認された。薬草や薬草抽出物に関して、その薬理効果が自生地域で民間療法として知られている場合についてガイドラインが提示されたのである。

日経新聞によると「…締約国はこれまでに、薬草などに関する先住民の知識を活用した製品の利益を先住民側に配分することについておおむね合意した。…先住民や地域社会が持つ生物の知識を製品開発に利用したら利益を配分することを奨励している。締約国は生物そのものを使う場合と同様、知識を利用する際も提供者の許可を取り、利益配分の契約を結ぶことを議定書に盛り込むことにした。…」という。

ある意味当然のことである。だが、当然の事例に関しては明確化されたものの、大きく広がっているグレーゾーンの存在がまだまだあるのである。健康食品の必須成分を産出する菌類・微生物が他国からのものだったら?それに対して「原料供給国」として「得る権利があるはずだ」という政治的な問題へと発展する可能性も高い。

利益配分、薬草などの知識にも COP10 :日本経済新聞

コメントを残す