要素臭とは

一般に天然の匂いはいろいろな化学物質が混ざり合った混合物である。いくつもの匂い物質が一定の比率で混ざった気体を嗅いだとき、人は~の匂いだと認識する。匂いの感受のシステムを今一度簡単に書くと、基質特異性が低い受容体がにおい分子と結合し、信号が送られる。受容体の種類は300種類といわれ、香気混合物が香り受容組織に到達すると、複合的な信号が発生し、脳で処理されあるイメージに結像する。そのイメージが匂いのイメージである。

という訳で、においはいくつもの成分からなっている。このことは合成香料に限らない。いくつかの匂いを混ぜると別の匂いを作り出すことが出来ることは大昔から知られていて、合成香料が無かった時代にも調香士は安い花のエッセンシャルオイルや香辛料を用いて高級な花の匂いを作り出したり、高級な花精油に、そのイメージを崩さない範囲で安価な精油を加え増量した(偽和剤)りしたという。そのため、光に3原色があり、音に周波数があるように、匂いにも要素臭(≒元臭)があるのではないかと考えられた。

現在に戻って考え直してみると、匂い受容体が人間に関しても300種類、遺伝子の数では1000種類相当の受容体が存在していることはそれ相応の要素臭を想定しないと匂いイメージの再現はできないのではないかと考えられてくる。

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