香りの調査をプロフェッショナル用途に供給したら?

広告関係で働いている方がビジネス課程にいる。顧客との雑談の中で色々な新規商品発売の動向などをフォローするうちに香りの商品に関して、調香して供給すれば、面白いと考えているそうである。現在は学生というよりは、色々な講師や他の学生からのアドバイスを受けながら自分のテーマに即して処方をつくり香料を調製しているという感じである。

つい先日までテーマとして、香りの空間演出に関してやっていた。老舗香料メーカーにとってはあまり経験の薄い分野であるし(ディフューザーによっても出方は変わるし)、ベース・トップの配分やターゲット商品もまちまちでノウハウ・前例がなく、取り組みにくい分野である。この様な大手、老舗の香料メーカーが参入しにくい分野は新規参入者にとって良いテーマである。また、小規模で利益性の薄い香水事業もこのような商売の規模にはちょうど良い(そして人脈があるから依頼も受けやすい)。

個人で商売をしているオーダー香水の調香師では利益性の確保とユーザーの要求にそくした調香の微調整(調香師によって得意分野、不得意分野があるために、調香師の不得意分野とユーザーの欲しい香りがあたってしまった場合にはとても難儀することになる。また香りに関してわかっている人間が間に入るわけではないので、どんな香りを目標にするのか、どのように仮作成段階のかおりを当初の目標の形に近づけてゆくのかが難しい。その点、アドバイザーが居る状態で香りを作れれば、修正やアイディア出しの際も心強い。

学校側としては、調香でのアドバイスを通じて処方を完成させ、学校を通じた原料供給によって利益も上げられるというメリットがある。このビジネスモデルは処方に対する責任も発生せず、原料購入のリスクも発生せず、購入者としての原料の一定の消費も義務付けられていない、だが確実に利益は上げられるし、ノウハウは自分たちも得ることが出来るローリスクなビジネスモデルである。

自分としては調香・処方作成で貢献するよりも、官能評価を活かした既存市場の解析と、持ち込まれた香気の評価をすることのほうが面白いのではないかと思う。学生の官能で出来た香りの評価をすることは、かなり兆候のトレンドに即した評価ができると思うからである。

定期的な調香トレンド(香調)の分析・評価を学生側で定期的に行い、既存市場と香調トレンドの変遷をレポートの形であげておき、持ち込まれた匂いの官能評価と併せてすることで、その香り評価をさらに客観的なものへと発展させられる。そのような香調分析・マーケティングは大手の香料会社でこそなされているものの、民間にその結果が流れてくることは無いから、もしリリースされれば欲しがるビジネスパーソンは結構居るのではないか。

もちろん僕自身のためにも、まずは彼も含めた周りのいろいろな人が作る香りを嗅いでみて評価しあって信頼関係を作ることが第一であることは間違いない。

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