震災以降、香りで人々の心に何か与えられないか

震災以降僕の周りの人々も「何か出来ないか」と考える人が多くなっている。自分も何ができないかなぁと考えて、以前より匂いをテーマにしたインスタレーションが面白そうだと思っていた。それを震災後に企画したら面白いのになぁと勝手に思いついた。「精神エネルギーを香りで充足できないか」ということである。

香りはしばしば人の心理に影響を与える。もちろん良い影響もあれば悪い影響もあり、個人差(ある人にとっては良い気分にする匂いでも、別の人にとっては嫌な気分にする匂いであること)もある。これはどんな人生を送ってきたのかということが、大きく関わっている。多くの人にはよい香りである化粧品の香りが、ある人にとっては嫌な人を想起してしまうので忌避されたり(それが子ども時代の記憶に結びついていたりするとその克服には時間が掛かる)。

しばしばPTSDのような個人レベルでは消化しきれないような辛い体験を想起させる引き金になったりもするので、注意が必要である。従軍兵士でPTSDになった被害者の中には戦場を想起させるので、バーベキューや焼肉の匂いを受け付けない人が居るそうだ。

そのような強烈な負の心理作用をもたらす場合は実際にはまれで、むしろ、「あまり良くない匂い」であっても、とある匂いを同時に嗅いだ人々が、同じイメージを同時にも持つことによって共感、それによる親近感が沸きあがってくることを自分としては今回主張したい。ふとお香の匂いが漂ってきて、その匂いを嗅いだとたんに親戚の家のことを思い出し、家族と「あの叔父さんのことを思い出したよねー」などと話したりする。あるいは思いがけず漂ってきた甘い香りのほうに目をやってみると、梅の花が咲いていて、こんなに寒いのにもうすぐ春が来るんだなぁなどと、なんだかワクワクして、連れ合いと一緒にその梅の花に顔を一緒になって近づけてみたりする。

香りが人の感情にひらめきを与える。もちろん嫌な匂いには嫌悪感が沸いてきたり、という事もあるのだが、近くに居る人々と同じ匂いを感じることで、感情の交感、感覚の共有化が起こる。これはほんのりとした一体感と言っても良いと思う。そしてこれによって、再び連帯して動いてゆくのだという感覚も与えてくれるのではなかろうか?

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震災以降僕の周りの人々も「何か出来ないか」と考える人が多くなっています。人によってはツイッターの情報発信力を使って原子力発電所への理解を促進したり、省エネを呼びかけたりしています。この祝日のうちだけ、春休みの間だけ、ボランティアに参加したり、募金活動で街頭に立ったりという行動力のある人も多い。自分も何ができないかなぁと考えていまして、例えば「魔女の実験室」ブログオーナーのやっている匂いのインスタレーションを延長して、震災の影響が落ち着いた頃に「東北地方の香り」でAROMASCAPEをやったりしたら面白いのではないか、などと思っていました。

今のところは「勝手な自分の中」レベルの着想です。でもボランティア活動の延長でこの類のインスタレーションの企画をしている人が居たら手伝いたいなぁ等とも思っています。

魔女の実験室

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