香料・香気のデータベース化について

僕にとって未知であり、未解明のものである「香り・匂い」とそれを作る「調香」。香り、匂いというものは一筋縄では分からないものだ。でもその香りの世界の仕組みについても、どうなっているのか知りたい。現在調香トレーニングを受けながら日々考え、そして調べた断片をどんどん繋げてゆきたい。やがてその知識の断片、着想、感じたこと等などは繋がり始め、クラスターとして自分の眼前に広がってくれるのではないかと考えている。

そして結晶化された知や考察はやがて繋がりはじめ、相補的でゆたかな「繋がっている智」に至るはずである、と自分は考えている。それがこのブログのアドレスとして盛り込んだ「idea cluster」の真意である。

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藤森先生の社会人講義に出てみた。藤森先生は理学系の思考をしていそうである。もちろん思考は指向であって、志向であって、嗜好だ。精神論などもお好きということだったが、自然科学研究の中に神性を見出すという方向性なのではないか?自然科学は理論で筋が通っているが、人間がその理論に至れるという保障もなく、正しい直感が自然科学の回答と一致するという保証も無い。

話は幾らかそれたが、藤森先生の最初の講義で最も印象に残ったのが、「香りを囲む表象」の図。その中で、「調香」や「香りの言葉での表現」という部分が、全く学際領域として未成立である。それが明確に解ったために藤森先生のその図をとても気に入った。しかも藤森先生自身も単品香料の官能評価において、単品のみで嗅いだ場合と、他の香気中で嗅いだ場合の官能評価に差があることを、科学的に追求しようとしているという話を聞いて、より一層この先生に関心を深めた。

全く学問的に成立していないこの分野に対して、学際的なアプローチを為して行こうと考えるときに、様々な学際領域に断片的に散らばっている研究成果を、まずはidea cluster的につなぎ合わせてゆくことが重要なのではないかと考える。おそらく単純な香料会社の処方研究のレベルでは、調香に対する学際的な研究は不可能だと思うのだ。しかし香りの文化を包括的に理解するためには、調香という人為的な創造行為に対する解釈がいずれ必要になると思う。

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学際的な研究としても、実業的な研究としても香りの組成データ集め、これが重要になるのではないだろうか。大規模に蓄積された香気データは実業的にも大変有意義な解釈を与えると思う。単純に思いつく仕事が、調香向けトレンド解析や、新規化合物の使いこなしに関するアコード分解、などなど。

メンバーは分析と化学系のスペシャリスト、そして官能評価パネラーが居たら良いなぁとおもう。

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Welcome to Our Company : Home(東京農大 生物産業学部 食品香粧学科 医食香粧分野 食品香粧機能学研究室の教授です)

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