以前、中本先生や藤森先生の本を紹介したときに書いたように、香りの研究は様々な分野に跨っていて、異なる分野から、様々な香り研究者の“先輩”がいる。今まで、目に付いたものから読み込んでいっていたので、どの分野にどんな人がいるのか、一覧にした事がなかった。最近、正式な学術としてなされた研究に関してインターネットを使って簡易的に調べなおしている(簡易的に、でも結構大変)。
情報としては少なくとも国内発表・日本人研究者に制限して以下のものを纏めたいと思っている。
• 既存(もしくは過去に存在した)研究機関紙、学会誌などの研究土壌
• 研究者の名前
• 研究者の専門分野、経歴
• 研究者の主要論文、レビュー、著作物
• 研究者の執筆論文一覧
研究者の名前と肩書きだけでは、研究内容について理解することは難しい。主要論文もしくは研究レビュー、一般向け著書などから調べてゆくしかない。
海外にまで視点を広げると、収集付かなくなってしまうので、当面は調べない方針である。なお海外において、1986年に大規模な心理学を中心とした国際会議が開かれており、その内容は和訳され「香りの感性心理学」1「香りの生理心理学」2に纏められている。個人的な感想を言うと、この本は、その後に続くアロマテラピー研究や香りの心理効果に対して大きな見通しを立てている本であって、ここで述べられている内容は香りを学術的に考えてゆくに上でどの章もすばらしかったと思う。
また、情報通信研究機構(NICT)のページの中にユニバーサルメディア研究センター大島千佳,KIM Dong Wook,須佐見憲史が纏めたという「香りの演出効果」に関する工学的レビュー3はなかなか参考になった。香りに関してひとつの話(例えば「香りセンシング」とか)に絞っても既存研究のレビューはなかなか大変である。
フレグランスジャーナルのフォーラムの案内「第11回 アロマ・サイエンス・フォーラム2010(2010.10.1)」4を一度は見ていたのだが、再びみて不安になってしまう。このフォーラムが開催されていたのが2010年なので、自分が関わりたいと思っていた「香りの提示装置の実用化」はもはや古いのかもしれない、と思ってしまった。以下に抜粋。
第11回 アロマ・サイエンス・フォーラム2010(2010.10.1)
メイン・テーマ アロマルネッサンス:
匂い・香りのデジタル化による嗅覚情報通信技術の最先端のいま
(1)匂い・香りのデジタル化は技術革新にどのような変革をもたらすか
(2)匂い・香りの嗅覚ディスプレイ-メディアツールとしての可能性を探る
とはいっても、嗅覚センシングはかなり難しく、見通しを立てての実用化は企業としても出来ない状態だ。もしかしたら水面下で動いているのかもしれないが、一般紙でのニュースもあまり聞かない。
いずれにしても、調べよう。今まで調香の基礎を勉強する、ということでネットを使った最新動向のチェックを怠り気味かもしれないから。
とりあえず、今後調べていこうと思っている名前を列挙しておく。
• 斉藤 幸子;経済産業省産業技術総合研究所 生命工学工業技術研究所人間情報部 (2001年 CiNii収録論文より)「特集にあたって : においの心理的体験が人に与える影響 (2001)」など5
• 外池 光雄6;千葉大 大学院工学研究科・人工システム科学専攻・メディカルシステムコース・
• 医用情報教育研究分野「鼻は訓練でよくなるか?--調香師のトレーニングと脳内活動の研究」Aroma research 12(3), 246-248, 2011 など
• フレグランスジャーナル社アロマ・サイエンス・フォーラム過去の開催内容 (年1回開催)
• 私のブックマーク : 香りによる臨場感;大島千佳,KIM Dong Wook,須佐見憲史
• 澁谷達明
• 岡田謙一(OKADA Kenichi)
参考;
1.livedoor BOOKS: 香りの感性心理学 編:S・ヴァン・トラー 編:G・H・ドッド 訳:印藤元一 | 人文
2.Amazon.co.jp: 香りの生理心理学: S. ヴァン・トラー, G.H. ドッド, S. Van Toller, G.H. Dodd, 印藤 元一: 本
3.私のブックマーク : 香りによる臨場感
4.フレグランスジャーナル社|セミナー・イベント|アロマ・サイエンス・フォーラム過去の開催内容
5.|書籍|(アロマサイエンスシリーズ21(3))においの心理学|フレグランスジャーナル社など
6.(外池光雄)