メモ;TEAC (11/19-21)

TEAC学会に参加してきたので、気になった発表に関してメモしておく。

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曽田香料の研究部長が曽田香料の特許取得済み官能評価方法に関して発表していた(依頼口演3)。
何らかの香気において、どんな香気物質がイメージを決定付けているのか?調べる方法としてはGC分析が定番だ。しかしながら香気成分にはGCの検出器でも検出できないような微量で、その香気に大きなインパクトをもたらす物質があることが知られている。また匂い物質が単体のときの匂いのイメージと、その調合品のなかでどんな影響力を働かせているのかは一致しない例もある。

前者に関しては、GC-O(GCスニッフィング)やAEDA(≒アロマグラム)という方法によって従来より官能評価による評価をとる。

後者に関して、以前より曽田香料が特許等で主張してきたOASIS、AROMATCHである。GC-Oの出口から出てくる香気と原材料の香気を気相中でこんごうして評価する。GCは香気成分がそれぞれ特定の時間で分離され出てくるので、それを分離され出てくる時間時間で調合品の香気のイメージがどのように変化しているかを官能評価すれば、その調合品における単品香料素材の役割が分かるようになる、という訳である。(詳細は特許を見てください)

今回この官能評価を用いた発表としては、東京農大の藤森先生の「ワイン香気」のテーマ(2PI-2)があった。また、このOASISではない香気の相互作用に関するものとしては、御茶ノ水・久保田先生の下でなされた「レモングラスと緑茶やチキンブロスとの相互作用」に関するもの(2AI-8)があった。
香気分析というものは「何が入っていた」という分析から「どんなものが強く働いているのか」という分析、さらには「どんなものが強く働いていて、その寄与はこんな傾向なのだ」という分析に移行してゆくべきであろう。

とりあえず「何が入っていたのか」というデータは有用だし、蓄積してゆくべき知見。もちろん、低沸点分子の生成経路を調査したり、未知化合物を発見し構造決定することは生物学的に有用で、そのような蓄積が、生理活性の調査との組み合わさって、新薬開発に結びついたりしては来たのだから、有用だし必要。だが、香りの科学としては片手落ちであるのだろう。

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1.TEAC2011 香料、テルペンおよび精油化学に関する討論会
2.曽田香料 http://www.soda.co.jp/company/aisatu.html
3.特開2003-107067
4.J P 2 0 0 7 - 1 6 3 1 9 8 A 2 0 0 7 . 6 . 2 8
5.ぐるぐる研究室 | ワタシにあったマナビを探そう!(藤森先生)
6.久保田 紀久枝@お茶の水女子大学研究者情報
7.http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%E4%B9%85%E4%BF%9D%E7%94%B0%E7%B4%80%E4%B9%85%E6%81%B5&source=web&cd=5&sqi=2&ved=0CD0QFjAE&url=http%3A%2F%2Feprints.lib.hokudai.ac.jp%2Fdspace%2Fbitstream%2F2115%2F8282%2F1%2F28(1)_2.pdf&ei=UWrOToKnHIvUmAXr28y-DQ&usg=AFQjCNHq5Bm2WGtezkMDhrvKmxRhhL5yyw&sig2=nrtLGMLrCByxLC8IXxoUiA&cad=rja

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